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分子接合

難塗装材料に塗装する意義と、分子接合技術による新たな可能性

プラスチック製品は私たちの生活のあらゆる場面に使われていますが、その中には塗装が難しい素材も多く存在します。今回は、これらの難塗装材料に塗装する意義や現行技術の課題、そして分子接合技術による塗装の可能性についてご紹介します。

難塗装材料は、なぜ塗装が難しいのか?

PP(ポリプロピレン)、シリコーンゴム、フッ素樹脂などは、以下のような性質を持つため、一般的な塗装では塗膜が密着しにくい素材です。

 

・表面エネルギーが低く、塗料が広がりにくい
・化学的に安定で、塗料と反応しづらい
・柔軟性や熱膨張率が高く、塗膜が割れやすい

 

これらの特徴から、「そもそも塗れない素材」として扱われることもあります。

難塗装材料に塗装することの価値

PPなどの難塗装材料は、軽量・安価・耐衝撃性や耐薬品性に優れ、さまざまな分野で活用されている素材です。難塗装材料に塗装ができるようになると、実はさまざまなメリットがあります。

 

・プラスチック特有の質感を変えられる高い意匠性
・濡れ性改善、静電気防止などの機能性付与
・リサイクル材の活用につながる

 

素材のままでは実現できない機能性や外観を付与できるため、難塗装材料への塗装は大きな価値を持ちます。特にリサイクル材の活用に関しては、原材料の価格が値上がりしている世界情勢を見ても、魅力的なメリットではないでしょうか。

現行技術(前処理・プライマー)の課題

これまで、難塗装材料に塗装するために様々な手法が用いられてきました。

 

・前処理(コロナ放電、プラズマ、フレーム処理など)
・プライマーの使用

 

しかし、これらには以下のような課題もあります。

 

・前処理:導入コストが高い、複雑形状への適応が困難、長期信頼性の課題
・プライマー:環境負荷、作業者の安全性、長期信頼性

 

そこで、分子接合技術を用いた塗装を提案いたします。

分子接合技術による密着性改善とは?

分子接合技術は、被塗装物と塗料の間を“分子接合剤”でつなぐことで、密着性を大幅に高める技術です。分子接合技術を用いた、難塗装材料と塗装の接合構造をご覧ください。

分子レベルで橋渡しを行うため、従来の物理的な前処理と異なり、素材そのものの性質に左右されにくく、長期信頼性の向上も期待できます。

実証例:PP樹脂 × 水性塗料での評価

今回は代表的な難塗装材料である PP樹脂 に対し、水性塗料を用いて評価を行いました。

塗装工程フロー

密着性評価

PP樹脂塗装品に対し、碁盤目テープ試験を実施しました。

結果一覧

この結果から、

 

・分子接合技術を用いることで水性塗料の密着が改善できた
・このPP樹脂に対しては表面改質をしなくても水性塗料が密着した

 

ことがわかりました。

応用の可能性と展望

今回の、PP樹脂と水性塗料の組合せは一例にすぎません。分子接合剤は幅広い樹脂に化学結合ができる官能基を有しているので、PP以外の難塗装材料や、他の塗料やプライマーに対して、密着性や信頼性が改善する可能性があります。
展望の一例として、自動車の内装部品があげられます。PP樹脂やPE樹脂は内装部品に広く使われていますが、これらの樹脂に対して塗装をすることで、意匠性や機能性を高めることができます。ですが、自動車用途では耐候性・耐薬品性などの厳しい評価基準があるため、自動車分野での実用化には、さらなる耐久性評価や信頼性試験が必要な状況です。

まとめ

分子接合技術を使うことで、従来は塗装が難しかった素材にも塗料を密着させる可能性があります。今回の検証はその一例であり、今後の応用へ向けた第一歩です。そのため、ご提示いただく塗装や被塗装物によっては、工程の最適化が必要であることをご承知おきください。
分子接合技術で、「塗れない」とあきらめていた素材に、“塗れるかもしれない”と感じていただけたのならば幸いです。

難塗装材料への塗装や、塗装の密着性でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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