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分子接合

分子接合技術の鍵を握る「分子接合剤(MB剤)」とは?

弊社が研究している分子接合技術は、分子接合剤(以下MB剤;MBはMolecular Bondingの略です)を使って化学結合により異種材料を接合する技術です。分子接合技術の本格的な説明をする前に、MB剤がどのようなものかをご理解いただいた方が、イメージがしやすいと思います。今回のテーマは、「分子接合剤」についてです。

 

 

MB剤の化学構造は、トリアジン環に少なくとも2種類の官能基が付いています。MB剤分子の大きさは約1nm(=0.0000001 cm)です。

MB剤の構造と特性:官能基の役割とは?

MB剤は弊社オリジナルの化合物で、トリアジン環に結合している官能基によりいくつかの種類があります。トリアジン環に結合している官能基には、無機物と結合し易いもの(官能基X)、有機物と結合し易いもの(官能基Y)があり、これらが被着体と化学結合することにより分子接合した接着物が得られます。

また官能基Xには、官能基Xどうしも化学結合するという特徴があります。
MB剤を使用する際には、溶剤で希釈して使用します。そのため、調液後の溶液の粘度や揮発性などは溶媒の性質に依存します。

化学結合(=共有結合)について触れておくと、化学結合は結合エネルギーが非常に高く、他の結合の強さと比べると、

化学結合>イオン結合>金属結合>水素結合>ファンデルワールス結合

の順になります。

なぜMB剤が選ばれるのか?シランカップリング剤との比較で見える強み

ところで、MB剤は2種類の官能基がある構造なので、シランカップリング剤と比較されることがあります。そこで、シランカップリング剤に対するMB剤の優位性を説明します。
一つ目は、被着体への吸着量の多さです。吸着量の多さは、MB剤独自の構造による分極効果や水素結合による効果です。
二つ目は、官能基Yが複数個あることです。一般的なシランカップリング剤は官能基Yが1個に対し、MB剤は複数個の官能基Yがあることで反応確率が上がります。前述の吸着量の多さと反応確率の高さは、高強度な接着につながります。
三つ目は、一般のシランカップリング剤にはない官能基Yがあり、これを使うとポリプロピレン樹脂やポリアセタール樹脂などの難接着材料と化学結合させることができます。実際、分子接合技術はほぼすべての樹脂・ゴム材料に適用可能です。

 

 

分子接合技術とシランカップリング処理の比較例を以下に示します。

 

次回は「分子接合のメカニズム」について説明いたします。

 

いおう化学研究所では、分子接合技術で「モノをつなぐ、技術をつなぐ、人をつなぐ。」をミッションに、岩手の大地から世界を動かす技術革新を生み出し、持続可能な未来への挑戦と貢献を続けていきます。分子接合に関するご相談・お問い合わせはこちらからご連絡ください。

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