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分子接合

分子接合とほかの接合の違いについて

弊社は分子接合技術の研究開発と分子接合剤の製造・販売をしています。しかし「分子接合」といわれてもイメージしにくいと思いますので、これから数回にわたり分子接合技術を紹介していきます。このブログを通じて、分子接合に興味を持っていただけたら幸いです。
第1回目のテーマは、「分子接合とほかの接合の違いについて」です。既存の接合方法をざっくりと3つに分け、分子接合と比較します。

1.締結

釘、ねじ、ボルト/ナット、リベットなどによる接合です。接合は締結部材の摩擦力によるもので、接合力は締結材や接着する材料の強度に依存します。
長所は、手軽に利用できること、材料の適用範囲が広いことなどがあげられます。また、ボルトやねじは、締め付ける力を微調整でき、また接合を解除することができます。
短所としては、原理的に点接合なので、気密性は担保されません。また、施工するための空間が必要なこと、振動による緩みや疲労破壊があるので、長期信頼性は低いです。さらに、締結材ぶんの重量が増えるので、微細なものの接合には向きません。

2.溶接、拡散接合

溶接は金属を融かして主に金属材料同士を接合するもので、拡散接合は2つの金属材料を接触させて加熱することにより、金属原子を互いに拡散させて接合するものです。接合力は金属結合に由来します。
長所は、接合強度が高いこと、気密性に優れていることがあげられます。
短所は、接合できる材料が限られることです。また、溶接の品質は施工者(最近はロボット)の熟練度に依存します。また、拡散接合では専用装置が必要です。

3.接着剤

接着剤を使って接着する方法で、接着力は分子間力、水素結合とアンカー効果に由来します。接着するものの材質や用途に合わせて、様々な接着剤が使われています。
接着剤を使った接着は、扱いが比較的簡単で低コストです。また、接着層が応力緩和機能を持つので、大面積の接着や大量生産に向いている工法です。
しかし、接着するものの材質により適した接着剤が異なるため、異なる材料を接合する場合には十分な接着力が得られない場合があります。また、アンカー効果を発揮させるために、接着面を荒らすなどの前処理が必要な場合もあります。さらに接着剤は基本的に高分子材料であり、また接着剤分子と接着物の結合は弱いので、長期信頼性はあまり高くありません。

4.分子接合

分子接合剤の分子が接着物を化学結合で繋げる接合方法です。接着力は、分子接合剤分子と接着物を構成する分子の共有結合に由来しています。
分子接合技術の最大の長所は、化学結合による接合のため、初期接合強度と長期信頼性が高いことです。また、分子接合剤の層厚はナノメートルオーダーととても薄いので、寸法精度に優れ、接着剤のようなはみ出しもありません。
逆に、分子接合層が薄いことが問題になることもあります。それは、接合層内で応力を緩和することは期待できず、結果として硬いもの同士(例えば、セラミックスと金属)の接着には不向きです。また、現状では接着するものに合わせて分子接合剤の種類や工程を検討する必要があり、手軽に利用できる技術ではありません。この点は今後の課題です。
しかし、一旦工程を確立すれば再現性良く接合できるので、工業用途に向いている接合技術と言えます。

まとめ

分子接合以外の接合方法はどれも歴史が古く、様々な分野で活用されています。対して分子接合はまだ世間に浸透していませんが、他の接合方法に負けない魅力があります。
次回は、分子接合剤に焦点を当てて、もう少し詳細に説明いたします。

 

いおう化学研究所では、分子接合技術で「モノをつなぐ、技術をつなぐ、人をつなぐ。」をミッションに、岩手の大地から世界を動かす技術革新を生み出し、持続可能な未来への挑戦と貢献を続けていきます。分子接合に関するご相談・お問い合わせはこちらからご連絡ください。

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