今回は、もう一つのプロセス要件である「官能基が化学反応するエネルギーを与える」について説明いたします。
分子接合プロセスでは、単に官能基を接触させるだけでなく、化学反応を促進するためのエネルギー(熱や光)を与えることが不可欠です。本記事では、熱エネルギーと光エネルギーによる官能基の活性化メカニズムを解説し、効果的な分子接合のための条件を分かりやすくまとめています。
前回のおさらいですが、官能基どうしを反応させるために、官能基が接触している必要があると説明しました。しかし、接触しているだけでは化学反応は進行しません。官能基が化学反応するためには、外部から官能基が反応するエネルギーを与える必要があります。被着体どうしが「密着した状態」で「エネルギーを与える」ことが重要なのです。
続いて、分子接合プロセスで利用するエネルギー形態を説明いたします。
一つ目は熱エネルギーです。分子接合剤の官能基は熱エネルギーで活性化し、相手材との化学反応が進みます。また、熱エネルギーを与えることにより、官能基の運動が激しくなるので、相手材と接触する確率が上がり、反応を促進する効果もあります。
実際に熱エネルギーを与えるには、被着体を加熱して温度を上げることになります。この温度は、分子接合剤の官能基や相手材により様々ですが、100~200℃ぐらいのことが多いです。
ある分子接合剤は、光エネルギーで反応します。この分子接合剤は光を吸収し、そのエネルギーで官能基を活性化します。ですので、相手材と接触した状態で光エネルギーを与えると、分子接合の反応が進みます。
官能基を活性化するためには特定の波長の光が必要で、分子接合では254nmの紫外線を照射します。
「被着体どうしを密着させる」、「官能基が化学反応するエネルギーを与える」これらが両立していないと、分子接合は成り立ちません。この2つが分子接合プロセスの要点なのです。
これまで、分子接合のメカニズムやプロセスについて紹介してきました。次回から、分子接合技術の応用例を紹介いたします。
いおう化学研究所では、分子接合技術で「モノをつなぐ、技術をつなぐ、人をつなぐ。」をミッションに、岩手の大地から世界を動かす技術革新を生み出し、持続可能な未来への挑戦と貢献を続けていきます。分子接合に関するご相談・お問い合わせはこちらからご連絡ください。
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