分子接合は、現代の接着・材料技術において欠かせないプロセスです。
特に「被着体AとBを密着させる」ことは、分子レベルでの強固な結合を実現するための重要なステップです。本記事では、分子接合に必要な条件の一つである「被着体どうしを密着させる方法」について、代表的な3つの技術(熱と圧力の利用、流動性の活用、MB剤の使用)を具体的に解説します。
これから分子接合を学ぶ方や、より強固な接合方法を探している技術者の方は必見です。
分子接合プロセスには、2つの必要な条件があります
1. 被着体AとBを反応可能な距離に近づける。
2. 官能基が化学反応を起こすためのエネルギーを与える。
今回は1つ目の条件の、「被着体AとBを密着させる方法」について解説します。
化学結合は官能基どうしが数Åの距離まで接近している必要があり、官能基どうしが離れていると、そもそも化学結合が生じません。
そのため分子接合は、被着体どうしが数Åの距離でくまなく密着している必要があります。
以下、代表的な密着させる方法を説明します。
この方法は、少なくとも片方の被着体が熱可塑性樹脂などの場合に適用される方法です。熱可塑性樹脂の、加熱すると柔らかくなるという特性を利用し、適切な温度範囲で材料を加熱しながら圧力を加えることで、二つの被着体を密着させます。
熱可塑性樹脂と硬い被着体(主に無機材料)の組み合わせは、この方法で効率的な接合が可能です。
この方法は、少なくとも片方の被着体が未硬化の熱硬化性樹脂や未加硫ゴム、溶融した樹脂やワニス状の樹脂など、流動性のある材料を接合する場合に用います。流動性があれば相手材の表面形状に応じて濡れるので、圧力をかけなくても反応可能な距離まで密着させることができます。
この方法は、硬くて変形しにくい被着体(主に無機材料)どうしを接着剤で接合する方法です。無機材料の被着体どうしを接合する場合、(分子接合剤が耐えられる範囲の)熱や圧力を加えても、被着体どうしをくまなく密着させることができません。
そこで接着剤を使用するのですが、接着剤は流動性で被着体に密着させることと、無機物の表面粗さを埋めることが役割です。
接着が難しい被着体にMB処理をすることでプライマーとして働き、無機材料どうしを接着剤で強固に接合します。
次回は2つ目のステップである、「官能基が化学反応するエネルギーを与える」について紹介いたします。
いおう化学研究所では、分子接合技術で「モノをつなぐ、技術をつなぐ、人をつなぐ。」をミッションに、岩手の大地から世界を動かす技術革新を生み出し、持続可能な未来への挑戦と貢献を続けていきます。分子接合に関するご相談・お問い合わせはこちらからご連絡ください。
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